+Black Blood.




□ □ □



「ぅっ、はぁ・・・・・・・っ!」


がた、がたた。



寒い部屋の中、無花果は一人蹲っていた。



ベッドから落ちて、動きが鈍い体のまま立ち上がろうとする。



「っ・・・・・・・・・・!!」




―――昨夜、仁叉に多種混合の薬を飲まされたばかりだった。


(気持ち悪い・・・・・・・っ!睡眠薬、覚醒剤まで入ってた・・・)



携帯が鳴ったと同時に仁叉は薬を無花果に無理矢理飲ませたのだ。
早く、意識を失ってこのまま目覚めなくてもいいように、そんな雰囲気で飲まされた。


寒気が酷いのに、汗で全身ぐっしょり濡れている。



必死で辿り着いた部屋の扉は、外から鍵がかかっている。





『・・・・・絶対出ちゃ駄目だよ、俺の可愛いお嫁さん』





(あの時の顔が蘇る・・・・・・・、何だったの、あんな哀しそうな顔、)



朦朧とする意識の中、無花果は仁叉の表情を見ていた。

いつもは薄い笑みを浮かべている仁叉は泣きそうで、弱かった。




何かある。


そう確信した時には意識は途切れていた。








―――あれからもう一週間も経っていた。