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「ぅっ、はぁ・・・・・・・っ!」
がた、がたた。
寒い部屋の中、無花果は一人蹲っていた。
ベッドから落ちて、動きが鈍い体のまま立ち上がろうとする。
「っ・・・・・・・・・・!!」
―――昨夜、仁叉に多種混合の薬を飲まされたばかりだった。
(気持ち悪い・・・・・・・っ!睡眠薬、覚醒剤まで入ってた・・・)
携帯が鳴ったと同時に仁叉は薬を無花果に無理矢理飲ませたのだ。
早く、意識を失ってこのまま目覚めなくてもいいように、そんな雰囲気で飲まされた。
寒気が酷いのに、汗で全身ぐっしょり濡れている。
必死で辿り着いた部屋の扉は、外から鍵がかかっている。
『・・・・・絶対出ちゃ駄目だよ、俺の可愛いお嫁さん』
(あの時の顔が蘇る・・・・・・・、何だったの、あんな哀しそうな顔、)
朦朧とする意識の中、無花果は仁叉の表情を見ていた。
いつもは薄い笑みを浮かべている仁叉は泣きそうで、弱かった。
何かある。
そう確信した時には意識は途切れていた。
―――あれからもう一週間も経っていた。

