―――西部、80%。
東部、20%。
軍隊が少なすぎる。
今回の喧嘩はどちらが勝つのかなぁ。
仁叉は呟いた。
「俺は、あいつを守り抜くよ」
目の前に居る男、涼は派手な髪の毛を揺らしながら緑色の目をぎらりと光らせた。
「あいつと言えば?」
「決まってるでしょ、空羽の事。」
そう言えば、腹を抱えて爆笑する涼。
「お前っ・・・!!あんな虐めてた空を好きになってたのかよ!!アッハッハ!似合わねぇー!!」
「黙って。元々俺は空羽を可愛がってたしね」
「可愛がるって・・・・・。愛情表現がハードでしたが」
かつん、と本論に逸れた事に注意を向けるように仁叉は床を蹴った。
「・・・・・・で、どうなの?君は、西部東部どちらにつく?」
「いやぁ~またソレ?俺はどっちにもつく気ねぇけどお。頼まれてお前が土下座すんなら味方になってやっても良いぜ」
「する訳ないでしょう」
眉を寄せ、ふざける涼を嗜める。
「・・・・・・俺は、お前が嫌いだ。だってね?女の子をあんなに傷つけて嗤ってる仁叉の気持ちも知れないし、一旦手放しといてまた捕まえるって言う考えも気に入らない」
座りなおし、足を大胆に組む。
腰につけているシルバーアクセサリーが鳴った。
「・・・・みんな言うよ。でも俺は例え誰も東部の味方に就かなくても一人で闘うよ。
・・・・空羽が死なない限りは。」
携帯の着信履歴を眺める仁叉。
それを見ながら、不機嫌を顕にした顔をする。
「俺が空羽を護るのは、戦争からじゃなくて、政府から。」
ぱたん、と携帯を閉じる。

