+Black Blood.


「・・・・・言っとくけど、俺は何も手を出さないから。縛られてる間はトイレにも行けないかも?」

「・・・・やるよ、やればいいでしょ」



眉を寄せ、取りあえず無花果は手に力を込めてみる。


「っ、あ、れ?」


もう一度、力を込めた。



「・・・・・・・・・・何、コレ」


「それね、手首ちょっと上まできつーく縛ってるからきっと手に力込めた位じゃ痛いだけだと思うよ」


「・・・・・」


く、と仁叉が笑う。



(手に力を込めても、食い込むだけ。・・・縄を移動、もできない。千切れないとなったら・・・・どうすれば、)


足に力を込め、ベッドを引っ張る勢いで前のめりになった。


「ぅう、・・・・」


(ベッド重い、痛い)


結局手首が鬱血しただけで終わり、無花果は力無く床に座り込む。



(力じゃ切れない・・・・。じゃあ、“縄を解く”方法は無いかな・・・)



少し振り向けば、縛られた手。


結び目に、反らした指を捻じ込む。


「っく、」



固く結ばれた縄はびくともしない。





「・・・・空羽はコレ、10歳の時普通に解けたよね」

「・・・・・そうだっけ」


呆れた顔で無花果を見下ろした。