『に、人間兵器が来たぁああ!!』
『逃げろぉお』
“人間兵器”だって。
『・・・・はぁ、』
俺も苦しい。
萎縮する筋肉、反面奮える神経。
きっと、仁叉に打たれた薬のせいだ。
――馬に使うと早く走って、競馬でよく使うんだよ。最後は興奮して死んじゃうけど。
『体が痛い・・・・』
『俺もだ、』
俺と同じ兄さんの顔。
二人共血塗れだ。
“人間兵器”にお似合いの赤いろ。
いつもよりずっと速く走れて、いつもより何百倍の力が出て、いつもより何千倍醜い。
逃げる人間を掴んでナイフで急所を刺す。
仁叉は人間は死ぬ時が一番綺麗だって言うけど、俺はやっぱりそう思わない。
こんな汚い。
こんな醜い。
そう言う俺らが一番汚い、醜い。
気付いたら生存者なんて辺りに居なくて。
屍、

