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「・・・で、仁叉様はどちらにご援軍を出隊させますか?」
「東部か、西部かって事?」
――国会軍事会館より。
少し高級感が溢れるソファに座している仁叉の横には、控えめに結果を急ぐ部下。
「君は、どちらが良いと思う?」
「・・・・・・私、ですか?・・・・それは、貴方様に従いますが」
「えぇ、それ嘘でしょう?簡潔な話、東部と西部どっちがムカつくの?」
部下の顔が歪む。
こいつは極端なサディストだ、と。
「・・・・・・東部・・・には少々腹を立てておりますが・・」
言い辛そうに吐き出されたそれは、凶暴な上司の逆鱗に触れていないかどうかを確かめるためのもの。
勿論、本人は気にもしていないが。
「そう。んじゃあ君は西部に就きなよ。俺は東部を援助するから。」
「、え?!私は仁叉様から離れて孤立で闘うんですか?」
「うん。俺は東部に女が居るから。軍なんか来なくても敵は一人でやるよ。君は西に女が居るでしょ?」
彼が西部の地方出身であることを思い出しながら語る仁叉。
「・・・・・・・、妻が東に捕らわれまして・・・」
「そうだよ。君はそれがいい。俺は東側につく。無理して君も俺の言うとおりに従わなくても良いでしょ?」
やり辛そうに眉を寄せる部下。
それを横目で見遣り、手を顎で組み覗き込む。
「・・・・・もうこうなったら俺は一人でやってやるよ。他の軍人にも伝えて。今回の戦争は個人それぞれが就きたい方面に行って、闘えって。」
「でも、東部に就く者は少ないと思いますが・・・」
「だから、その時は俺は一人で殺るよ。早く全ての軍に伝えてきて。」

