「何ですか?私に言えないんですか・・・?」
「う、」
下から覗き込めば、無花果が少し赤らんだ顔で複雑な顔をする。
「あ、や・・・・零が、出獄するって・・・」
「はい?」
「ミッションの仕事を終えたら、分社と本社の仮社長をする、って・・・」
「は、え?律様は・・・・」
「アメリカ」
その後広い浴室に高い悲鳴が木霊するのを1階の使用人が聞いたとか聞いてないとか。
――数分後。
散々騒いで無花果を捲し立てた香織は逆上せたのか、冷水を体に浴びた。
「・・・すいません、混乱してしまって・・・」
「いや、いいよ。私も良く分かんないから」
「でも・・・・まさか零様が・・・。」
「律に聞いてなかったんだ、その事。」
「・・・・ハイ。ああ見えて口が堅いんですよ」
少し寂しそうな顔を見せ、また直ぐに笑顔が戻る。
まるで、無花果を励ます様に。
「元気出してくださいよ、無花果様。折角結ばれたのに引き離されるのは可哀想ですが・・・・また会えますよ!」
「・・・・・私は一応無期懲役って言われたんだけど」
「・・・・・・、零様がまた迎えに来てくれますよ!多額な保釈金を担いで!」
「・・・もう直ぐ西部と東部が喧嘩するけど・・・」
マイナス思考になってきた無花果を励まし飛ばす。
「良いんだ、・・・・・・もう、収容所に戻れるかもわかんないし」
「・・・・・・・え?」
「ううん、別に」
明るい顔をして見せた無花果に余計心配する香織だった。
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