「・・・まぁ、勿論政府がしっかりしてねぇからこうなる事は分かっていたけど」


呆れた様に新聞を丸めた律。


「・・・注意はしろよ、って話。特に無花果。暴走しかねねぇだろ」

「まぁ、状況によれば、。」


言葉を濁し、丸まった新聞を見る。




外は、こんなにも荒れていたのか。




東部に居ながらも愛でられている無花果は複雑な心境で一杯だった。






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「香織ちゃんは、どう思う?」


浴室にて。


「はい?」

「あの、戦争とかなんとかのアレ」

「あぁ、西部との?私は・・・兄から酷くなる、と伝えられているので」

「え、仁叉は戦争起こること知ってるの?」

「・・・戦争、ですかね?まぁただの激しい喧嘩かと思えば。お兄様は此処から逃げた方が良いんじゃないかと言っていたんですが、私は此処を離れようとは思いません」

「私はどうせ収容所だからなぁ・・・」

「前科持ちを受け入れてくれる所なんてそうそう無いですよ」



浴槽淵を撫でる。


「もう直ぐ無花果様が居なくなるとおもうと寂しいですね・・・」


その浴槽淵に頭を凭れさせて、ちらりと無花果を見遣った香織。

散々嫌がっていた“ミッション”の仕事が終るのを嫌がっているように見える表情。


「・・・零様と何かありましたか?」

「無いよ。」

「私、知ってるんです。嘘をつくとき無花果様は何故か目を合わせるんです。普段は合わせないのに」

「・・・・・・・・・」


ふい、と慌てて顔を逸らす無花果。