ベッドに落ちているリボンを拾い上げ、無花果の服に通す。


リボンを見て、昨夜の出来事を思い出す。


「零さぁ、首絞められたとき何か嬉しそうだったんだけど」

「あぁ、無花果の谷間が見えて・・・痛ッ?!」


零を叩くと同じくらいに引き寄せられた無花果。


「変態」

「栄光の称号だよ、無花果くん」


きゅ、とリボンを結ぶと無花果に口付ける。

少し触れただけで、すぐに離れるキス。



「お腹すいた・・・」

「同感。香織ちゃんが持ってきてくれるって」

「・・・・まさかあのメイドさんが香織ちゃんだったとか・・・気付かなかった・・・。」


口元が緩む無花果を見て、再びベッドに寝転がった零。



バタバタ・・・ガチャッ!

「わっ?!」

「朝食です!無花果様っ」


突然現れたのは無花果より清楚なメイド服を纏った香織。
豪快に扉を開け、2人分の食事が用意されているトレイを雑に置き、無花果に抱き付く。


「香織ちゃんかぁ、びっくりした・・・」


その和む雰囲気を傍観しながら零はネクタイを締めた。


「良いお顔をしてますね」

「・・・・・・そう?」


頬をがっしりと掴んで満面の笑みで無花果を見遣る香織。が、今度は零を緩んだ顔で見上げた。



「零様」

「何、その顔・・・」

「無花果様をよろしくお願いします」

「何、この雰囲気・・・」


がしりと手を掴み、輝いた瞳で零を見る香織に違和感を覚える零。



「え、何、は?そんな期待する訳か?アレ、香織ちゃん?」

「零様がお兄様になった気分ですよ」

「別に結婚も何もしてねぇからね?アレ?こっち見てる?香織ちゃん?」

「やめて二人共こっちが恥ずかしい」


少し苦笑している無花果が気付かない内にクロワッサンを頬張っていた。