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――――天馬分社より。




無花果は、堅い感触に目を覚ました。



「ん・・・・・・ぜろ、」


それが彼の胸だと知り、何となく離れてみる。


「・・・無花果さん酷くねぇ?」

「・・・・起きてたの。・・だって、かたい」

「胸あったほうが良かった?」

「きもちわるい」


離れた無花果を抱き寄せ、再び腕中に戻す零。



「・・・・・・・・・・」



(まだ、濡れてる)


口元を触る無花果が昨夜を思い出す。



「・・・・・・・何赤くなってんだか」

「なってない。」

「まだ何もしてねぇのに」

「・・・・・・・・・・・・・・・」



頭上の零が妖しく笑った。それを見て、無花果の眉が寄る。


「・・・・・今なんじ」

「・・・・・・・朝7時ちょい過ぎ」

「起きる・・・」



零の頬についた爪痕を見て、満足気に無花果は言う。

昨日、結局傷に消毒液を塗り暴れる無花果の被害者になった零。


「・・・傷が沁みる・・・」

「引っ掻かれた所が沁みる・・・」


そろりと足を床に下ろす。