紅が付着した頬を見て、仁叉が嗤う。



「なぁ、その、空羽ってやめてくんない?」

「もともとの名称だったのに」

「わたしには似合わない」



手首を拘束していた足を退け、代わりに片手首を押さえつける。



「・・・・・・・、妙、だろ」

「妙?」

「以前、零に聞いてみたんだ。その名前の意味。」



抵抗しない無花果の腰に跨る仁叉。



「そら、とはねなんてあるわけ無いのに」


そして、ぎろりと仁叉を睨む。



「俺のせいだって言うの?」


「お・・・私を私じゃなくしたのはお前だ」


“お前”と言った事を叱咤する仁叉。


「醜くて、滑稽だ。毎日束縛された生活で、自分の歩む道が決まってる。飛び立つ力なんて、無いのに」


剥き出しになった身体を見下ろす。



「・・・・・・・・身体、傷だらけ。ミッションてやつ?」


「元からだろ」


「昔はこんな悪態つく子じゃなかったのになぁ」



そうだよ。俺が、君達の羽根を圧し折ってあげたんだよ。


「そんなに嫌なら、イチジク、で良いの?」

「・・・・・・あぁ。」

「何で食べ物なの」

「知らない」



ふ、と仁叉が嗤う。




「・・・・・・・・・・・・ッ!!!!」



肩に、激痛。


「痛い・・・・・・」


左肩についた血が滲む歯形を見て、顔を歪ませる無花果。