―――少し経つと、いつもの小柄なメイドが来た。
「失礼します」
「あ、こないだのメイド。何か俺らの専用みたいになっちゃってんなぁ。」
「いえ。朝食をお持ちしました。どうぞ。」
「零に食べさせんのぉ・・・・・・・・?」
「ペアなんで、とお伺いしました」
置かれたトレイには、スプーン。
「ねぇ、お前やってよ。俺嫌だ」
「それでは零様は飢え死にするでしょうねぇ・・・・」
「えッ?!そんだけで飢え死にってするモンなの?」
くすり、笑われた気がする無花果。
「・・・・・・まずは御自分の食事を取ったら如何でしょう」
「ん。」
むんずと用意されたパンに手をつける無花果。
「無花果、俺のはぁ?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・後で。」
ベッドに腰を掛け、無言で咀嚼する。
「それでは、失礼します」
メイドが一礼し、部屋を出た。
それを見計らった様に、零が起き上がる。慌てて止めようとするが、腕に抱かれる無花果。
「、オイ・・・・・怪我にひびくぞ・・・・・・」
「もう治り掛けだぜきっと。」
そして、束ねた無花果の手にあるパンに食らい付く。
「それ俺の!!お前のあっち!」
「後で、って言ったじゃんお前。」
(何でこうなるんだ・・・・・・)
食事を横取りされた気分になり、不機嫌になる無花果。
と、そこに。
「あ、無花果。チョコ出てきた」
「ちょこ?」
ゴソ、とポケットから一口サイズの包み紙を出した零。

