「ってことは何?メイド服は・・・」

「捨てられてた」
「・・・・んの野郎ォオオオオオオ・・
清らかなあの法衣メイド服を捨てるとは言語道断!殺ったか?」

「殺れなかった」

「最凶悪の零クンがぁ?負けたの?」

「あぁ。アイツは、無理。」


無花果を抱いたまま、零が近くのソファに座った。
がくり、と項垂れる無花果。


「無花果さぁ、軍のトップが親代わりだってよ」


「・・・・・・・・さっき言ってた、」

「溺愛?みたいな。アレは・・・もう親じゃねぇなって位。」

「まあ親は普通手ぇ出さないもんな」


ぐで、と背凭れに凭れる――――当然、無花果の頭は肩に乗る訳で。


「う・・・・・・・」


妙な窮屈間に目覚めたのか、声を出した。


「・・・・・・・・起きた・・。
んじゃ、俺が寝てた所に持ってくわ」

「お前と同衾?」

「なんもしねぇよきっと。」



目覚めた無花果を抱いて――――今度は俵持ちじゃなく―――零は立ち上がった。



「あぁ、そんだけの報告。イヤー良かったよ収容所に報告されてなくて。俺ら死刑寸前だぜぇ」


(結局零はそんだけの報告に俺を叩き起こしたのか・・・)



安眠を妨害された律ひとり、眉を寄せていた。

そして、何の事無さげに部屋を出て行く零。



「おやすみ~ 」


「あ!てめっ蹴破ったドア・・・」


「おやすみ~ 」




床に無残に破壊された扉を見、もうどうでも良くなったのか、律はベッドに身を投げた。