+Black Blood.

その牢は、軍内で罪を犯してしまった者を収容しておく様な牢だった。


(俺が入ってた収容所より警備は薄いワケだ。

んなら・・・・・・・・・)


鉄格子を触ってみる。


(薄い・・・・破れる、かも)


ひんやりとしたその鉄の感触は、容易には壊せそうも無いが、何かの物で叩けば凹みそうな鉄だった。



(・・・・・・・・・・パイプ管、・・・・

しか無ぇか)


まだ足首に掛かっている錠を引きずりながら、恐らく使われていないように見える剥き出しのパイプ管に向かって歩く無花果。


(俺がこんな物壊せるとは思わねぇけど、)



みしっ、とパイプ管を掴む。


「っぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐ・・」



地面にめり込んでいるソレ。を、ありったけの力で抜き出そうとする。


ぎぎぃ、と妖しい音が鳴る。


(ぐぐぐ・・・アレ、でもこれ水道管とかだったら結構マズいよな・・・水没するかも)


そんな危ない事を考えながらも、パイプ管を抱える。



「あああああああああああ」



歯を食いしばり、腕だけに力を込める。



みしっ、みしっ・・・・


(うし・・・中身は空洞だ)


水没の危険が身から離れた事により、更に増す力。



「っぬらぁああああああああああああっ!」



バキッ・・・・・・・・・



使い古され、年季が入っていたお陰が大半かもしれない。

パイプ管は、地面から抜けた。