何で、今こうなっているんだ。


小さい頃は、兄とも互角の力で遊んでいた。


服だって、今の今まで変わらずで。


何にも誰とも違いなんて無かった。


兄さんとも、仁叉とも、零だって。

自分と違う所なんて何一つ無いじゃないか。



「何で、」



分からない。


自分に、何が起こっているのか。


『俺とは全て違う』


仁叉の容赦ない教育。



ミッションだって、まだ途中だ。

失敗したら、二度と収容所に帰れない。
兄さんに、会えない。


だけど、軍狗になるのも御免だ。



「ケホッ・・・・・・」



仁叉に殴られた頬が痛む。


身体には、痣。


「気持ち悪い・・・・・・・・・」




何が、違うのか。

今までの、何が、違うのか。


「俺が生きてた経験は、全て間違っている物なのか・・・・・・」



落ちている衣類を身に纏い、仁叉の言うとおりに従い、言われた事を忠実にこなし、言われたときに、尻尾を振る。



(俺は人形じゃねぇんだ)




瞳に憎しみを込め、下着を着ける無花果だった。