「零っ・・・・・・・・・」


そして、奥の方でぐったり倒れている黒い塊。

燕尾服を着た、零。


「ぜ・・・」
「空?」


無花果がゼロのもとに行こうとした瞬間、手を掴まれる。


「離せ!仁叉!」

「ゼロ、って言うのあの子。一応、死んでないよ。骨は折れてるだろうけど・・・・」


そのまま、グイッと引っ張り自分の胸に無花果を収める仁叉。
彼も随分大怪我を負っているようだ。


「零が?!やられる訳、」

「そうだね、一般の人間だったら死んでただろうね・・・・」


(仁叉は・・・・・・・・軍人だった筈)



ぞくっ、と背筋に寒気が走った。



「じんざ・・・・・・・・・お前、」

「軍のトップを抜かすのは、無理があるよ?」

「っん、」



そのまま、顎を掴み首を反らせ、無花果にキスをする仁叉。


(や、めろ・・・・・・・・!)


黙らせるような、口付け。


ぐ、と倒れている零が体を起こす。


「・・・・・・・・・・・」


(見るな、みてんじゃねぇよ、零)



ふ、と僅かな隙間に息を漏らす。



「ゴホッ・・・・・・」


息を上げて、口から血を吐く。
動きが不自然だった為、何本か骨が折れているのは無花果にも分かった。



「や、仁・・・・・!!」

力一杯、胸を押す無花果。



ハァハァ、と息を上げながら、虚ろな目でこちらを見る零。