ガチャ・・・・・・・・


見た目と違い、意外に重かった扉。



「お、やっぱり来た。空羽、ナイトじゃん」


黒髪の。


端麗な顔立ちをした、女性のような雰囲気の男がベッドに腰掛けていた。
その隣に、ベッドによこたわる無花果。


虚ろな目で、焦点が合っていない。


「っ・・・・・・・・・・・」


(全裸。、で声が出てないし)


「・・・・・・・・・・・無花果、連れに来た」


「いちじく?空羽の事?そう言うんだ」


「収容所じゃな。


女の子にピッタリな名前だろ?」


「・・・・・・・何だ。気付いてたの」



高級なシルクのベッドで、気だるそうにうずくまっている無花果が居た。


「ヤったのか?」

「・・・・・・不躾だなぁ・・・ま、口悪く言えばそうだけど」


(えらい消耗してんな・・死に欠け)


その男が、無花果の髪を撫でる。


「まぁ、初めてだったし。

あぁ、死にそうなのは俺のせいじゃなくて、薬ね。声が出なくなったみたい」


「・・・・・・・・・・っ」


にっこり、麗しい顔で微笑む。

男じゃなければ、俺も本気に好きになっていたかもしれない。
、と零は思った。



「平気なのか?薬にやられてますけど、無花果」

「こんなシンナーの原液位じゃへこたれないよ、ウチの空羽は。」

「・・・・・・・・・・?」


「この子が小さい時、もっと凄いコトしたから」

「凄いこと?」

「ま、キミには関係無い。」



フ、と意味深な笑みを残し、無花果を抱き上げる仁叉。