私はダメ人間じゃない~ネットカフェ難民の叫び~

「お前な、仕事こなせてないってクレームきてんだよ。明日から来なくていいからな」

「こっちこそ願い下げよ!」


売り言葉に買い言葉だ。私は思わずそう言ってしまっていた。



とりあえず中村が帰ったあと、警察を呼んだ。


会社からは警察沙汰にするなと言われたが、そんなこと構うものか。こっちだって2万円を取り返せなければ、生活資金すらないのだ。

そんなことより、全財産が800円ちょっと。

会社をクビになったのだから、すぐにでも寮を出て行かなければならないし、前借りも出来ないだろう。

頭に少しでも血が上れば、こんな結果が待っていた。


お金がないということは、残酷なほど無力だ。



明日には追い出されるかも知れないこの状況で、私に残された道はひとつしかなかった。


(どこかからお金を借りなきゃ)


今日は土曜日だが、手続きは出来るだろうか。


背に腹は変えられない。たったの2万円で良い。この場をしのげるお金が必要だった。


季節はすっかり夏の匂いに満たされていた。汗を拭きながら歩くこと2時間。市街地に出ると、金融屋の無人契約機がある。


その前に立つと、自然と足が震えた。


これでさらにお金を借りて、自分に返すことが出来るのだろうか。しかし、そのお金がなければ、次の仕事すら探せないのだ。