私はダメ人間じゃない~ネットカフェ難民の叫び~

電話代とカードローン代だけを残して、引き出されたお金のほとんどを、またATMに戻す。そして重い気持ちで、振込先を入力した。



帰宅したあと、お昼からお風呂に入る。

このあと、ぐっすり眠って疲れを取らなければ、月曜日からの仕事もままならない。


お風呂から上がり部屋へ帰ると、ダイニングから見る景色が、妙にさっぱりしていることに気が付いた。


(あれ?)


玄関に山盛り並んでいた靴がなくなっているのだ。

さすがに迷惑と気づいて、加藤は自分の部屋にしまったのだろうか。さほど気にもせず、私は自分の部屋へと戻った。


テーブルもなく、布団だけが置かれた部屋には、もちろん棚も何もない。自分のバッグがぽつんと置いてあり、化粧品類がカゴに入れられて隅に固まっているだけだ。

そのバッグのチャックが開いている。


(あれ?)


またもや違和感がある。

私はいつもちゃんと閉めるのが昔からのクセなのだ。開けっ放しにしておくことなど、滅多にない。

何気なく中を覗いて、私は蒼白になった。愛用していた赤い財布がなくなっているのだ。


(ウソでしょ)


慌ててバッグの中身を放り出し、ポケットも探ってみたが、そこには何も入っていなかった。

部屋を見渡し、布団を跳ね上げたが、やはり無い。


(まさか)


玄関の靴がなくなっているということは──