怪我をしているとわかると、急に痛みがこみ上げてきた。肩から腕へ、大量の血が流れているようだ。べっとりとした血で、作業着が張り付いた。


どれほどの深手なのだろうか。それだけが心配だ。


工場の敷地の端に建てられた事務所まで帰り着くと、すでに連絡が入っていたのか、現場管理者が救急箱を出して待っていた。

「うっわー、やってくれたな」

私を見るなり、放った第一声はそれだ。

体を気遣うそぶりさえ見せてはくれないのは、派遣先の社員となんら変わりはなかった。

「こりゃ病院だな。連れてってやるからすぐ着替えて」

言われるがままに、着替えると、そのまま近くの病院へと連れて行かれた。



「10日後くらいに抜糸できると思いますから、また来て下さい」

そう言われたものの、来れるかどうかさえ分からない。

思ったより傷は深かった。これでは、ここの現場にすぐには戻ってこれないだろう。何より会計時に提出された金額は、2万円を超えてしまった。

健康保険に加入していないのだから仕方がない。

身を切るような思いで千円札を重ねて出すと、肩を落として病院をあとにした。


帰りの電車の中、私はまた他の派遣会社の予約を入れる。

いまは痛くて腕も回せないくらいだが、それでも一日でも休むわけにはいかない。もう財布の中身はからっぽなのだ。

明日の仕事が見つからなければ、その日はネカフェにも泊まることができない。



祈るような気持ちで電話をしたが、すぐに回答はもらえなかった。