私はダメ人間じゃない~ネットカフェ難民の叫び~

(足が──)

冷たくなった床に靴下だけの足で立っていると、それだけでつま先が痛くなる。

そこで腕を組んで聞いていた男性派遣社員に、一喝が飛んできた。

「おい、人が説明してんのに腕なんか組んでんじゃねえ!」

管理者はずいぶんこわもての男だ。

「あ、すいません」

言われた派遣社員はあわてて腕を解いた。

「仕事させてやってんだろうが。もっとありがたく聞けよ」

自分が怒られているわけではなかったが、その言葉に私はカチンときた。


「それ、どういう意味ですか」


と言いたいところだが、そうもいかない。ここはぐっと言葉を飲み込んで、緊迫した空気が過ぎるのをまっていた。


仕事はやはり、そこそこキツイものだった。

ベルトコンベヤから流れてくる、箱詰めされた空のペットボトルを梱包して、それをさらに貨物エレベーターに運ぶ作業だ。


(仕事させてやってる……か)


雇う側にしてみれば、やはりそうなるのだろう。

雇用というのは、それなりに雇われる側にも権利があるはずだ。双方の利益がかみ合って成り立つものだとすれば、こちらにも「雇われてやる」という言い分がある。

でも、現実にはそんなものは存在しない。