私はダメ人間じゃない~ネットカフェ難民の叫び~

誰もがぶすりと黙り込み、ため息をつきながら人員を確認する担当者を待っている。

そうこうしているうちに、ひとりの中年男性が私たちの前に立った。

「じゃあ、プロワークの人、名前言って」

それぞれ名前を告げて人員をチェックしてもらうと、それからタクシーへと乗せられる。

「じゃあ、タクシー代持ってるひと、払っといてくれ。あとで事務所で清算するから」

乗り際に言われた言葉で、一緒に乗り込んだひとたちが財布の中身を確認している。


(そんな無責任な)


タクシーチケットくらい用意すれば良いだろうに。

まあ、派遣だからそのくらいでは驚かない。


運転手はいつもこうして送迎しているのだろう。行き先を言われるまでもなく、工場の中へと乗り入れていった。


「はい、2080円になります」


そう言われてお金を払ったのは、結局私だった。

それだけのお金を持ってなかったのか、誰もお金を出そうという素振りさえ見せなかったのだ。



工場という所は、何かと規則が厳しい。ここも例外にもれなかった。

日雇い派遣の事務所は、昔の飯場のような、プレハブの小さな建物のなかにある。暖房も効いていないそこで、朝礼と称して、現場管理者が長々と規則を告げていた。