私はダメ人間じゃない~ネットカフェ難民の叫び~

「けっこう人が足らないんだよ。なるべく連続で入ってもらえるとありがたいんだけど」

担当者の懇願するような言葉とは裏腹に、私の心は躍った。

「はい、こちらこそお願いします」

新しく登録した派遣先からは、さっそく仕事の紹介をもらえた。

明日の仕事は少し遠いが、ペットボトル工場での作業だという。工場と聞いて思わず眉をしかめたが、そんな贅沢は言ってられない。

なんと言っても時給が良い。850円で12時間労働なら、残業プラスすれば9000円を超える。

さっそくオーケーすると、他の派遣会社に予約してあるスケジュールをキャンセルした。


考えるより行動だ。それが吉と出た。


現場へは高崎線の始発を使わなければならない。だとすれば、赤羽あたりで泊まれば都合が良さそうだ。

その赤羽駅まで出ると、西口を出て地下のネットカフェへと足を運んだ。


(ナイトパック1980円……)


いつものネカフェにくらべると、500円ほど高いのは痛かった。しかし、22時から使えるのは好都合だ。

(シャワーがあるのはここしかなさそうだし)

結局そこに泊まることにした。



翌日、指定された駅を降りると、すでに何人かの人が集まっていた。

「おはようございます」

という明るい挨拶はしない。

これまで何度もそうしてはみたが、今まで一度たりとも返事が返ってきたことはなかったからだ。