私はダメ人間じゃない~ネットカフェ難民の叫び~

「お客様、どうかなさいました?」

店員に起こされて、私は悪夢から目を覚ました。店内の暖かさからだろうか、じっとりと寝汗までかいている。

「あ、すいません。大丈夫です」

朝からどっぷりと寝られては迷惑だろう。携帯で時間を確認すると、まもなく10時になろうとしていた。

これならデパートで暖をとれる。

さっさと席を離れる店員を追うようにして、私はバーガーショップを後にした。


これからまた長い一日が始まる。

デパートで閉店までぶらぶらして、それから映画館の待合ロビーやゲームセンターで時間をつぶして、11時にネカフェに入る。

財布の中身は3万円を切っている。一日の無駄が致命傷になる不安定な生活。

私はまだふくらみを持たないお腹に手をあてた。


(出産費用、まだまだ遠いな……)


デパートに入ると、ベビー服を売るショップの前で足が止まる。

店内にはお腹を大きくした女性が、幸せを顔ににじませて、あれやこれやと服を選んでいた。

それを見るたびに、自分の境遇がうらめしく思え、そして彼女らの境遇が憎いほど羨ましくなる。


「よし、がんばるぞ」


強がりくらい言わないとやってられない。

私は入ったばかりのデパートをあとにして、さっそく別の派遣会社への登録に行った。