私はダメ人間じゃない~ネットカフェ難民の叫び~

石川は滅多に風呂に入らないので、そんなことはない。19歳のアホギャル、加藤だ。

いつも顔を見ればお金を貸してくれとしか言わない。そのお金を何に使っているのだろうかと思えば、次々に新しいブーツや靴が狭い玄関に並んでゆく。

もちろん私が貸すわけがない。

そんなお金があるなら、シャンプーのひとつくらい自分で買え。

朝早くからドライヤーの音で起こされる。どうせ職場では帽子を被るのに、朝からもっこりと頭をあげて出勤だ。


(だったらキャバクラでも良いだろ)


とは思うが、残念ながらその容姿では無理だったのだろう。


見渡してみると、派遣社員には失礼ながらあまり容姿に優れた女はいない。お金が欲しければ、ほとんどの女がまっさきに水商売に行くのだろうか。

それとも、もっとまともな就職先が見つかるのだろうか。


私は自分の顔を鏡に映してみた。


(上等じゃん)


あくまであの中では、という条件がつくが。



とにかく、この寮はストレスが溜まる。

職場でもあれだけのストレスにさらされている上に、生活空間でもこのざまだ。

かと言って、中村に相談でもしようものなら

「じゃあ、メシでも食いながら相談に乗ろう」

と、いつもの返事しかしない。


(もう、うんざり)


シャワーを止めると、タオルで頭を拭く。その動作だけでも腕にだるさを覚える。


疲れている、本当に。

体も、精神も……