私はダメ人間じゃない~ネットカフェ難民の叫び~

コーヒーの入ったトレーを持って奥の席につくと、私と同じような匂いを持つ男が、カウンターに突っ伏して眠っていた。

暗い色の安物のジャンパーに、同じような色のリュックを脇に置いている。

髪の毛は脂ぎって額に張り付き、眠っていても顔に疲労の色が浮かんでいた。おそらくは同類だろう。

この時間になっても席を立たないということは、あちらも仕事にあぶれたクチのようだ。


(無残だ)


底辺の生活に必死にしがみついている姿がそこにある。

私はそれを見ていたたまれなくなり、離れた席へと移動した。


時間を見ると7時半。これから2時間半を、このコーヒー一杯で過ごさなければならない。どころか、この先これで一晩過ごすはめになるかも知れないのだ。


それを思うと、また息が苦しくなった。


私は不安をコーヒーの湯気でごまかして、少しだけ眠りに落ちた。