私はダメ人間じゃない~ネットカフェ難民の叫び~

恐らく早い時点で分かっていたはずだ。それを、昨日の派遣先からきたクレームに腹を立てて、その腹いせをこっちに回してきたのだ。


(つか、男のクセに姑息な……)


派遣会社の上に立つ人間は、こんな奴が多い気がする。何かあれば、こっちに怒りの捌け口をぶつけてくる。

『まあ、昼からでも仕事あれば回しますから、気長に待っててよ』


(気長に……って)


こんな寒い冬の朝、どこで時間をつぶせば良いのだろうか。

ここからデパートが開店する10時までが、我慢のしどころになる。


(あそこしかないか)


見渡した先には、いつもの黄色いMのマーク。世界一有名なハンバーガーショップと言えば、誰でも分かるだろうか。

「いらっしゃいませ」

はじけるような笑顔と声ではない。年増のおばさんが、疲れた顔で私を迎えた。

近頃、スマイル0円というフレーズは死んだと見える。でもパートのおばさんも、早朝からこんなところで働いているのだ。家計のやりくりが大変なのだろう。


「ホットコーヒーをひとつ」


この注文をするのにも、最初は勇気がいった。


「はい、ホットコーヒーがおひとつ。他には」

「あ、それだけで」

「おひとつだけで?」

「はい」


しかし、もうこのやりとりにもすっかり慣れてしまった。