私はダメ人間じゃない~ネットカフェ難民の叫び~

『はい、ジョブフィールドです』

「あの、登録番号40052の海野ですけど。今日、予約の仕事どうなってるんですか?」

『あーっと……海野さん……ああ、これね。今日はキャンセルさせてもらいます』

「ええ!」


キャンセルさせてもらうって、どういうことだろう。

都合が悪くなり、キャンセルせざるを得ないことはあるだろう。しかし、派遣元は集合時間も知っているのだ。それまでに連絡をするのが常識ではないだろうか。


『先方さんから夜になって減員の連絡が入ったんですよ』

「それならそれで、もっと早く連絡してくださいよ。ここまでの交通費、どうしてくれるんですか」

『どうって、そりゃどうしようもないですよね。海野さんがどこからどこまで乗ったかなんて証明できないでしょ。あなたこっちの住民票持ってないんだし』


確かにいま、住民票の住所は、以前働いていた派遣会社の寮のものになっている。

日雇い派遣の会社へ登録する際、こっちにまだ住民票を移してないと説明していたが、私のような人間は珍しくないのだろう。たぶん、私がネットカフェを渡り歩いていることに気づいているのだ。


(人の弱みにつけこんで)


お金を持っていない人間は、どこまでも虐げられる。

保護しろとまでは言わないが、お金を持っている人間の不条理を押し付けるのだけはやめて欲しい。


『昨日、あなたクレーム受けてますよね。どうしても人員を削るときはね、そんな人が対象になっちゃうんですよ』


やられた、と思った。