休みは週に二日。それ以上は派遣会社では働かせてくれない。その二日を他の派遣会社で仕事をするのが普通だ。


しかしこの日、私は区役所に足を向けていた。

夏子さんは病院に行くということなので、久しぶりに別行動ということだ。

それだけでも何か支えをうしなってしまったように心もとなくなる。それは私の甘えだろう。


区役所の正面玄関の自動ドアをくぐると、そこは雑多な人の匂いに満ちていた。

若い人から老いた人、とくに目立つのは自分と同じくらいの年の女性たちだ。そして子供を連れている人を見ると、なぜか胸がざわついた。


私もああやって手続きが出来るだろうか。ちゃんと人間として最低限の補助を受けられるのだろうか。


そんな不安ばかりが募る。


中央の番号札を取ると、待合の長いすに腰掛けた。


前の席には2歳くらいの子供と母親が座り、何ごとかを話している。

話しているといっても、子供の言葉は何を喋っているのかは分からないのだが、それでも母親には通じるものがあるのだろう。

うなずきながら子供との会話を楽しんでいた。