私はダメ人間じゃない~ネットカフェ難民の叫び~

「俺たちは契約で結ばれてるんだからな。あっちが勝手にルールを破っているんだから、こっちのほうが立場は上ってことだ」

「でも、そんなことしたら他のとこに飛ばされたりしないの?」

「そりゃ飛ばしたいだろうな。でも、こっちが素直に飛ばされないのを知ってるからな、あいつらは」


なんとも逞しいというか、悪知恵が働くというか。


安心すると、さきほどの井原が肩をすくめる姿が思い出されてきた。いつも居丈高な男が、怒られている子犬みたいに小さく震えていたのだ。

思わず口に含んでいたコーヒーを小さく噴き出した。


「汚ったね、おい!」

「だって、あの井原の顔が……」


いったん笑い出すと止まらない。私はコーヒーを置いてお腹を抱えていた。春樹もつられて笑っている。


私たちは思い出しては笑い、その夜はなかなか寝付くことができなかった──