私はダメ人間じゃない~ネットカフェ難民の叫び~

「なにって、付き合ってるんじゃないの?」


渡辺は春樹をあきらめたのだろうか。それにしても、よりによってあんな男とは趣味が悪い。

田中は30を過ぎてまで、若い男の子のように大きなサイズの作業ズボンをはき、ダブついた裾を引きずりながら仕事をしている。

人相の悪い顔に似合わないピアスをして、シンナーでボロボロになった歯は見られたものじゃない。

もちろん性格も最悪とくれば、私にはとても恋愛対象とは考えられない。


私は内心、渡辺を鼻で笑っていた。


せっせと男前を選んで声をかけていたにもかかわらず、結局こんな男にしか相手にしてもらえなかったのだろう。

ここで私と春樹の姿を見つけた渡辺は、どんな反応をするだろうか。それを試してみるのも悪くは無い。

(うわあ、私も人が悪い)

と、内心思う。しかし


「あいつらがメニュー見てる間に帰るぞ」

「えっ……」


春樹はそんな妄想をしている私を無視して、そっと席を立った。そして顔をそらしながら会計に向かう。

疑問を向ける間もなく、私もあとを追うことになった。



どうやら気づかれることはなかったようだ。しかし、店内を気にしながら、人通りが少なくなった夜道を歩いてゆく春樹に、私はなんだか腹が立ってきた。

なぜこんなにコソコソしなくてはならないのか。私たちの関係が同僚にバレるのがそんなに嫌なのだろうか。


私はかまわない。というか、結構色んな人が知っているはずだ。