私はダメ人間じゃない~ネットカフェ難民の叫び~

「あれでクビにしちゃうのって可哀相じゃない?」

「どうせ自分からやめるよ。覚悟ができてない」

「覚悟?」

「ここが最後だってことだ。まだどこかに逃げ場があるって妄想してんだよ」


そっけなくそう言うと、春樹は設備のスタートボタンを叩いて作業を再開した。

不機嫌なままの顔を見て、私はそれ以上なにも言えなくなり、仕方なくこちらも作業に戻った。


その週の週末、二人で外食に出かけたときだ。私はふとあの新人のことが気になって口にのぼらせた。

「あの新人さん、どうなったの」

「さあ。たぶん別の工場に行ったんだろうな」

「あのさ……ちょっと春樹、冷たくなかった?」

「冷たいよ。いつも」

春樹の顔に不機嫌な色が浮かぶ。あまり好ましくない話題なのだろう、無言のままカルボナーラを掻きこむ手が荒々しい。


「なんで春樹って、あんな仕事の鬼なの。もう少し手を抜いても良いんじゃないかなあって、思うんだけど」


春樹の手がフォークから離れた。

ほお張ったパスタを飲み込むと、目からきつい色が抜ける。


「失くした5年……俺が前の会社をやめて、ここに来てからの時間だ」