私はダメ人間じゃない~ネットカフェ難民の叫び~

これがどんなに急いでも間に合わない。その作業のなかで、消耗品をいちいちチェックして補充するのは至難の業だ。

だが、一台の設備で四苦八苦する私を尻目に、春樹はそれを何台も掛け持ちして、涼しい顔をして作業をこなしている。

他の作業者だけでなく、社員からも神業と呼ばれているのが、自分が同じ作業をやってみるとよく分かった。

正直、テーピングをやっていたほうがどれだけマシか分からない。


(よくやる……)


春樹の働きぶりは、見ていてあきれるほどだった。


どうせ私たちは派遣社員なのだ。

正確には請負社員だが、命令はこの会社の社員から出ているのだから、より正確には偽装請負社員ということになる。

まあ、どっちにしろいくら頑張ったところで給料が上がるわけじゃないし、無理して体でもこわせば、休業保障もなければ見舞金もない。

それで生産が落ち込めばすぐにお払い箱なのだ。


そんな環境で仕事を頑張れと言うのは酷というものだろう。それなのに春樹は身を削るように仕事をこなしてゆく。

自分に出来る範囲で、サボらない程度に淡々と仕事をすれば良いと思う私には、それはとうてい理解できなかった。


そんなある日、この工程に新人が入ってきた。年齢は21歳だという。