私はダメ人間じゃない~ネットカフェ難民の叫び~

次の日の朝は眠かった。

話し込んでいて、ふと気づくと時刻は午前3時を半分ほどまわったところだったのだ。

話の内容は、派遣会社に対する不満ばかりに終始した他愛のないものだったが、それを吐き出して共感できる相手がいると、話は尽きなかった。

あわてて寝たのだが、睡眠時間は2時間ほど。


しかし、まぶたは重くても、そこからのぞき見る景色は、どこかこれまでとは違って見える。

それは夏子さんという存在があらわれたからに他ならなかった。


助け合う仲間とまでは言いすぎだろう。苦労を共有できる仲間とでも言うのだろうか。

とにかく、ずっとひとりで思い悩んでいた昨日までとは、心に背負った重さが全然ちがうのだ。


夏子さんは夜の7時までの仕事だった。私はそれまで時間をつぶし、8時半にコインランドリーに足を向けた。

このまま銭湯に連れて行ってくれる約束になっている。

私はちょっと興奮していた。銭湯にだろうか、それとも心の支えになりそうな人を見つけたからだろうか。

店内には乾燥機が一台だけ稼動していた。丸い窓から見える派手な色のタオルや下着を見ていると、こちらまで目が回りそうになる。

棚に置いてある週刊誌は、二ヶ月以上も前のものだ。情報誌としての役割を持たなくなったそれを、見るともなしに見ながら夏子さんを待っていた。