私はダメ人間じゃない~ネットカフェ難民の叫び~

極力重くならないように話してくれたのだろう、あれでも。

その胸のうちは、本人にしかわからない事情や感情で満たされていると思うと、これ以上立ち入るのは失礼な気がした。


「じゃあさ、海野さんは──」

「雪でいいです」

「じゃあ、雪……は、なんでこんな生活してんの。ていうか、闇金か」

その言葉を口にして、夏子さんは口を曲げた。

「そうなんですけど、母の借金の連帯保証人になっちゃって」

「なんでそんなもんに──」

「騙されたんです。母親に」


言ってしまったあとに、自分でその言葉にはっとした。

つい、ぽろりと出てしまった言葉だが、つぎには胸が締め付けられるような切なさに襲われた。


こんなこと、誰にも言わなかった。


いや、思うことさえ否定していた。そう思いたくなかったからだ。私は、ずっと母に愛されていたと思いたかったからだ。

しかし、私の口は止まらなかった。

「母は、私を勝手に保証人にして、パチンコして遊んで……私を騙したまま……勝手に死んじゃって」

「そんなこというもんじゃないよ」


感情のままに言葉を続けようとする私を、夏子さんは遮った。