ごろりと体をうつぶせにして、畳の感触を頬で確かめてみる。
(夢じゃない)
こんな生活を続けていると、のびのびと体を伸ばせる環境というものが、どれほどありがたいことかが、身に沁みてわかる。
(すごいよ、ここ)
また体を反転させると、木の板がむき出しの天井が目にうつった。
その光景はどこか生まれ育ったアパートを思い出させて、私はすこし甘酸っぱい思い出をよみがえらせる。
「気に入った?」
声のするほうに顔を向けると、夏子さんが様子を見に来ていた。
私は寝転がったまま、笑顔で答える。
「ホント感動ですよ。もう、最高」
「そう、良かった。明日はどこの現場?」
「松戸の弁当屋です」
その現場の名前を口にすると、夏子さんは苦笑した。
「あそこか……うるっさいおばさんばっかりの」
「そうそう、凄いんですよ、陰口が」
「まあね、それに二重派遣の現場だから時給安いでしょ」
「え、二重派遣って」
「管理票に派遣先を書くでしょ。あそこは古川フーズなのに、こうのとり運輸って書かされるでしょ」
「うん、何でかなって思ってたけど」
その現場だけじゃない。たしかに色んな現場で、同じように派遣先と実際に明記する会社名が違うことが頻繁にある。
(夢じゃない)
こんな生活を続けていると、のびのびと体を伸ばせる環境というものが、どれほどありがたいことかが、身に沁みてわかる。
(すごいよ、ここ)
また体を反転させると、木の板がむき出しの天井が目にうつった。
その光景はどこか生まれ育ったアパートを思い出させて、私はすこし甘酸っぱい思い出をよみがえらせる。
「気に入った?」
声のするほうに顔を向けると、夏子さんが様子を見に来ていた。
私は寝転がったまま、笑顔で答える。
「ホント感動ですよ。もう、最高」
「そう、良かった。明日はどこの現場?」
「松戸の弁当屋です」
その現場の名前を口にすると、夏子さんは苦笑した。
「あそこか……うるっさいおばさんばっかりの」
「そうそう、凄いんですよ、陰口が」
「まあね、それに二重派遣の現場だから時給安いでしょ」
「え、二重派遣って」
「管理票に派遣先を書くでしょ。あそこは古川フーズなのに、こうのとり運輸って書かされるでしょ」
「うん、何でかなって思ってたけど」
その現場だけじゃない。たしかに色んな現場で、同じように派遣先と実際に明記する会社名が違うことが頻繁にある。



