「パチンコ依存症ってやつだな。あんた知らなかったのかい?」
貯金をすべて下ろし、そのお金を集金にきた男に聞いてみた。母が何をしていたのか、と。
そして、返ってきた答えがそれだった。
「パチンコ……そんなものに」
「いま主婦は多いな。まあ、そのおかげで俺たちが商売できんだけどよ」
一般の金融業者からは多く借りられない主婦は、負けが込んで理性が飛ぶと、このような闇金に手を出してしまうのだという。
そして、お決まりの家庭崩壊が待ち構えているということだ。
「じゃあ、あとは毎月の返済たのむな。月17万だ」
その返済額が重くのしかかる。普通に働いてはとても返せない額だ。
「はい……」
暗い声で返事をすると、その男は突然私の肩を抱いてきた。
「なあ、いい仕事紹介してもいいんだぜ」
私はすかさず男を突き放した。
「どうせロクな仕事じゃないんでしょ。結構です」
「ロクな仕事かどうかは分からないだろ。案外あっちが大好きだったりしてな」
「帰ってください!」
強引に玄関から押し出すと、荒々しくドアを閉める。
(冗談じゃないわよ)
肩で息をしながら、私はしばらく足の震えが止まらなかった。
行く末の恐怖と、あんな男に見下されたことへの怒りがないまぜになったままで──
「お疲れさまです」
派遣会社の事務所へと顔を出すと、色んな人種が日払いの給料を待っていた。
私も就業管理票を提出すると、それらの人々に混じって順番を待つ。
「あんた、最近見るようになった顔だね」
突然声を掛けられて、正直驚いた。その証拠に、かなりのオーバーリアクションだったようだ。
声を掛けてきた女性は、そんな私を怪訝な顔で見た。
貯金をすべて下ろし、そのお金を集金にきた男に聞いてみた。母が何をしていたのか、と。
そして、返ってきた答えがそれだった。
「パチンコ……そんなものに」
「いま主婦は多いな。まあ、そのおかげで俺たちが商売できんだけどよ」
一般の金融業者からは多く借りられない主婦は、負けが込んで理性が飛ぶと、このような闇金に手を出してしまうのだという。
そして、お決まりの家庭崩壊が待ち構えているということだ。
「じゃあ、あとは毎月の返済たのむな。月17万だ」
その返済額が重くのしかかる。普通に働いてはとても返せない額だ。
「はい……」
暗い声で返事をすると、その男は突然私の肩を抱いてきた。
「なあ、いい仕事紹介してもいいんだぜ」
私はすかさず男を突き放した。
「どうせロクな仕事じゃないんでしょ。結構です」
「ロクな仕事かどうかは分からないだろ。案外あっちが大好きだったりしてな」
「帰ってください!」
強引に玄関から押し出すと、荒々しくドアを閉める。
(冗談じゃないわよ)
肩で息をしながら、私はしばらく足の震えが止まらなかった。
行く末の恐怖と、あんな男に見下されたことへの怒りがないまぜになったままで──
「お疲れさまです」
派遣会社の事務所へと顔を出すと、色んな人種が日払いの給料を待っていた。
私も就業管理票を提出すると、それらの人々に混じって順番を待つ。
「あんた、最近見るようになった顔だね」
突然声を掛けられて、正直驚いた。その証拠に、かなりのオーバーリアクションだったようだ。
声を掛けてきた女性は、そんな私を怪訝な顔で見た。



