私はダメ人間じゃない~ネットカフェ難民の叫び~

「お前が内臓売るよりよっぽど買い手がつく。それならそれで、出産費用まで立て替えてやる」

「あなた……人間ですか」

「そりゃ俺が言いたいな。そんな貧乏してて、人間ですかってな」


言葉をなくす私を尻目に、男は雄弁に語りだした。


「他の生き物を虐げるのが人間で、虐げられるやつはみんな家畜だ。お前はどうだ、紹介してもらうチンケな仕事をコツコツしてよ、プライドも捨てて地べたに這いつくばって生きてるだけだろが」


イカれた思考回路を持った生き物らしい、闇金業者というのは。


「そんなクズみたいに生きてる奴を見るとよ、踏んづけてやりたくなるのよ。虫みてえに、ぐしゃっとな」


黄色い歯を見せて笑う男の心の深淵は、ドス黒い汚物で満たされているように感じる。

どうにかしてこの場を逃れなければ、二人の命はないと確信した。


「ち、遅せえなあ、あの野郎」


車を待っているこのときしかない。車に乗せられてしまえば、もう逃げることはできなくなるだろう。

おそらく、このまま監禁されるはずだ。


「誰か助けて!」


これしかなかった。