私はダメ人間じゃない~ネットカフェ難民の叫び~

「雪ちゃーん、逃げようったってそうはいかないって言ったろ」


その声にも覚えがあった。


「あ……」


声を出すことができない。あまりの恐怖に、私はくず折れそうになる。

「おっとっと、もう逃げられないぜ。おい、車持って来い」

もうひとりの男にそう言うと、私の髪を鷲掴みにして顔を近づけた。

「まさかネットカフェ難民やってるとはな、盲点だったぜ」

それは、闇金融の男だった。


(もう、終わりだ)


私の中には絶望しか浮かんでこない。

これからどうなるのか、その恐怖で歯が小刻みに震えた。


「お前の元彼な、ちょっと脅しただけでベラベラ喋ってくれたぜ」

殺されるかもしれない。この男たちは、そのくらいのことを平気でやってのける奴らだ。

だとすれば、お腹の子供も死ぬことになる。


(それだけは──!)


私は半泣きになりながら、男に懇願した。


「許してください、子供がいるんです!」


その言葉を聞いて、男の目の色が変わった。


「ほお、そりゃ良いな。ガキひとりで200万だ。返済に充てられるじゃねえか」

「なっ……」