私はダメ人間じゃない~ネットカフェ難民の叫び~

その女性は、カウンターに座るなり事務員に文句を言っている。

そんなことをすれば、すぐに仕事が回ってこなくなるだろうに、あの女性はわかってないのだろうか。


とは言っても所詮は他人事だ。


私はさほど気にすることもなく事務所をあとにすると、エレベーターのボタンを押した。



夜の東京の喧騒が、私をさらに孤独にさせる。

ガードレールや、地べたに座って話し込む若者たちの笑顔が不自然であろうとも、私にはそれすら羨ましい。

旅行会社で働いていたころは、あんなに声をかけてきたキャッチも、いまは私の前を素通りする。

この賑やかさが、私の孤独を浮き立たせていた。


疲れた体で、駅のコインロッカーへたどり着いた。


大きなバッグは、仕事場に持ち込めないことも多い。そういう現場に行くときは、コインロッカーに荷物を預けてゆく。

見慣れたバッグが小さくなって、私の帰りを待っていた。