男たちはいわゆる闇金業者と言われる高利貸しだった。
自分の貯金通帳を見ても、わずかに100万円ほどしかない。毎月、給料の大半を母に渡し、その中からわずかばかりの貯金をコツコツ増やしてきた。
母は、私が渡したお金を何に使っていたのだろうか。
毎日胃が痛くなる思いで働いていたお金を、何に──
「力になれることがあったら……俺も何とかしたいけど」
同僚でもあり、付き合っている一郎に、ことの次第を説明してみた。
結婚まで考えているのだ。こんな状態では、そんなことは夢のまた夢だろう。
しかし、正直に話してはみたものの、一郎の答えは、具体的に何をしてくれるというわけではなさそうだった。
「警察とかに相談すればどうにかなるんじゃないの?」
結局はその方向で話が進んでいた。
「警察は、生活センターに聞いてくれって。暴力沙汰じゃないしって」
「で、電話したの?」
「うん、そしたら弁護士に相談してくれって」
「弁護士は?」
「そのお金を借りた人から、連帯保証を偽装しましたって証明ができるように、証言させることが必要だって」
「出来るの?」
「出来るわけないじゃない!」
つい先日、私の母は亡くなったばかりだと知っていて、こんなことを言うのだろうか。それに、家族じゃないからと母の葬儀にも顔を出さなかった。



