私はダメ人間じゃない～ネットカフェ難民の叫び～

ゆっくりと、言い聞かせるように話す春樹の言葉は、そのひとつひとつが心に響いてくる。


「幸せってのは、物理的に証明できるもんじゃないだろ。自分を取り巻く環境をどう受け止めるか、だ」


私は小さく頷いた。


「妬みを持った時点で、どんなに金があってもそいつは不幸になるってこと。そんな不幸に付き合ってやることないだろ」


そんなことは分かっている。確かにそうかも知れない。

しかし、それを受け止められるほど、私の心には余裕がない。


押し黙ったままの私に気がついたのか、春樹は本を置いて顔をあげた。


「じゃあ、何とかしてやるよ」


ため息をついたあと、春樹はそう言って話を打ち切った。




その二日後、私が作業していると、派遣管理社員がやってきた。

「海野さん、明日から職場を変わってもらうから」

その言葉を聞いたとたん、ずん、と足元に鉛が乗ったような失意に襲われた。

そして

（やはり……）

という思いが頭をよぎる。