私はダメ人間じゃない~ネットカフェ難民の叫び~

「あの……外でお話させてもらいます」

「知らねえよ。俺たちはここで話したいんだ。それとも何か、俺たちが気に入らねえからって追い出そうってのか」

「そんなことないですけど」

「じゃあここで良いじゃねえか。でさ、とにかく払ってくれる?」

「そんな事言われても、それは母の借金で──」

言葉を続けようとする私の前に、借用書が突き出された。

「ここ、ここ」

男がその借用書の下の部分を指差す。と、そこには連帯保証人の名前が書き込んであった。

「海野雪、あんたが保証人じゃねえの」

目の前が真っ暗になってゆく。

もちろんそんなサインなどした覚えはない。母が勝手に私の印鑑を持ち出し、保証人に仕立てあげたのだ。

(なんでよ……)

何故こんな姑息なことをしたのだろう。

私の中で、母に対する想いが揺らいでゆく。

「とにかく、今は帰ってくれませんか」

「そうもいかないね。ガキの使いじゃあるまいし、いくらかでも集金させてもらおうか」

そう言うと男たちは、私の財布から根こそぎお金をむしりとって帰っていった。


頭の中が真っ白だ。

今まで考えていた計画や希望、夢が粉々に砕けてゆく。

自分の席に戻っても、仕事に集中できるわけがない。同僚たちも気をつかい、誰も話しかけてこなかった。