「あ、慶だ!」
「翼君!!久しぶりですね!」
「そうだなぁ。しばらく見ないうちに、また格好良くなった?」
--夕方。
バイトから帰ってきた兄さんは今、慶と抱き合っている。
何だか……俺より兄弟っぽいよな。
「耀羽にイジメられてなかったか?」
「スゴいイジメられました!殺されかけました!」
……それは、お前が悪いからだろ。
ツッコミたくなる気持ちを抑えて拳を握る。
そんな俺の様子に気付いた兄さんがニヤリと笑って
「さ、飯食いに行こうぜ。俺の奢りだ」
と言った。
「マジですか!?」
あーあ。
耀羽に『奢る』なんて言ったら兄さんの金、全部無くなるぞ。


