「んー。50メートルで9秒くらいかなー?速くはないかもっ。」


やっぱり平凡。

喉が乾く。こいつと話すとものすごく。


「え?遅くね?」

「なんでよ!普通だもん!」

ルルルルル


「あ、ごめん!拓から電話!一回切るねっ!」

「おー。」

ブチッ


ツーツーツー



幸せそうな声しやがって。

拓は兄貴、さゆの彼氏。
優しくてかっこよくて運動もできて背も高い。


本当に男からしたら誰もが羨ましがるくらい。
理想の男、自慢の兄貴。


コーヒーのなくなったカップを手に取り急いで一階へ駆け降りる。


「あ、秋。あんたが欲しがってた小説今日本屋でたまたま見かけたから買って来たわよ。」

母さんに呼ばれてリビングへいくと前から気になってた小説を渡された。

俺この本欲しいって兄貴にしかいってねぇのに。