そこでシューは、いつもと変わらない笑顔を浮かべて、続けた。



「だから、レイシアは化け物じゃないの。

たとえレイシアが、何かの力に目覚めて、身体が人とは違うものになっても……

レイシアの心は、優しい『ヒト』のイルトでしょ?



あたしは……………

そんなイルトが大好きだよ。」





そこで笑顔のシューの目から、涙がこぼれる。






「だから、お願い。

化け物だなんて、言わないで。



たとえ、レイシアのことをいじめる人がいても。

世界中がレイシアのことを化け物だと言っても、あたしはそうは思わないから。」




シューは、泣きながら、笑う。




「それに、こんなにレイシアが優しいんだから、みんなわかってくれるよ。

人間だとか、化け物だとか関係なく、レイシアのことを好きでいてくれる人がいっぱいいる。」





それに、僕はまた泣いた。

ここのところ泣いてばかりだ。



でも今日の涙は、嫌じゃない。



いつまでもこの幸せを、味わいたい。






だから、この幸せに別れを告げるように、最後に、シューに伝えた。



「うんっ………ありがと…う。

僕も、シュー…が。

大好…き…だよ。」






それにシューは泣きながら、ふふっと笑って、僕の手を握る。



「こんな…の、変…だよね。

ふた…りして、泣…きな…がら、笑っ…てるんだ…もん。」



それに僕も泣きながら、ははっと笑った。