家のドアが開く音がしてから、
「ただいまーっ!」
と、明るいかわいらしい声が響く。
「あら、帰って来たみたいね。」
と言って、今の今まで噂をしていた僕とアルマさんは顔を見合わせ、笑う。
ぱたぱたと廊下を走る音が聞こえたあと、ひょっこりとかわいらしい女の子が、キッチンの扉から顔を出す。
僕はそれに微笑んで言う。
「おかえり、シュー。」
それにシューは、一瞬焦ったような顔をしてから微笑んで答える。
「あ、イルト。
えっと、ただいま。」
シューは村でも人気の、明るく、かわいらしい女の子だ。アルマさんにそっくりなきれいな黄緑色の瞳に、対照的な真っ黒の髪。肩まで伸ばしたその髪はつやつやとしていて、光に当たると濃い紫色に光る。
アルマさんは栗色の長いふわふわした髪なので、シューの髪はお父さん譲りなんだとアルマさんは言っていた。
今年7才になるシューは、村の同じ年頃の子たちより少し小柄な体を、この前出来上がったばかりの、アルマさんお手製の薄いオレンジ色のワンピースで包んでいる。僕は自分の年齢はわからないけど、そのシューと僕は同じ年くらいに見える。
それを見て僕は、
「そのワンピース似合ってるよ。」
と言う。シューは驚いた顔をしてから、少し照れたように顔をほんの少し赤らめて、
「えへへ。ありがとう。」
と笑った。
「おかえりなさい、シュー。
ちょうど朝食の時間よ。」
アルマさんがシューの頭をなでながら、まだキッチンの扉のところにいたシューを中に入れてあげる。



