次に気がついたときにはお兄さんは倒れていて、様子も元に戻っていた。

いまは眠っているようだった。



何が起きたかわからずに、きょろきょろしていると、町のみんなが僕を呆然と見ていることに気がついた。


それになんだか怖くなって、

『え……?みんな、どうしたの?』

と聞く。



でもだれも答えてくれなくて。



そこで、




『………………化け物。』


という声が響く。

だれかが小さくつぶやいた。



まただれかが言う。


『化け物。』



ばけ、もの……?


だれが…………





『化け物!!!!!!』

だれかが叫んだ。



それに続くようにして、集まっていた人たちが次々と叫んでくる。


『化け物!!』

『出ていけ!!』

『だれかあいつを殺せ!!』

と。



どうして。

僕に言っているのか?

僕はいまいったい何を……



と、そこで、群集の中に僕のお父さんとお母さんを見つける。


2人もこっちに向かって叫んでいた。



あまりに群集の声がうるさくて、聞こえないけど、2人が何を言っているのか、口を見て、わかった。







『化け物』








遠くから、兵隊が向かってくるのが、見えた。