もう『呪い』はすでに、神には手が出せないほど強くなっていた。
途方に暮れた神は、あることを思いついた。
『ヒト』の『呪い』には、『ヒト』の『呪い』で対抗しよう、と。
そこで神はまた自分の力の一部を切り取り、新しい『呪い』を創った。
美しい、『神の呪い』だった。
それは『呪い』を殺すもの。
それは『呪い』を食べるもの。
しかしそのころ、いくつかの『呪い』は、自分たちの力が『ヒト』の『悪しき心』の強さに比例することを知り、隠れる術を身につけていた。
より強い『悪しき心』を持つ『ヒト』が現れるのを待つために。
『呪い』は隠れた。
そこで神は、すべての『呪い』が世界に現れたとき。
つまり、すべての『呪い』が『ヒト』と契約をしたときに、『神の呪い』をある一人の『ヒト』に契約させた。
世界中の『ヒト』の中から選ばれるその一人の『選ばれしヒト』は、機が訪れる度に、一人ずつ選ばれた。
世の中が乱れ、憎悪があふれるとき。
『選ばれしヒト』は、世界に姿を現す。
そうして神は。
世界を呪った。



