しかしあるときから異変が起きはじめた。



あまりにも脳が発達し、たくさんの知識を身につけ、世の中を豊にした『ヒト』は、自然の恩恵だけでは満足しなくなった。


『ヒト』に『欲』が産まれた。



『欲』は増え続け、『ヒト』が『ヒト』から奪い、『欲』を満たすようになった。



それに加え、奪われた『ヒト』の恨みも増えていった。



『欲』は恨みを産み、恨みは『悪しき心』へと変わり、『悪しき心』は『力』を求めた。


『ヒト』の中にあった残っていた神の力は、『ヒト』が『力』を求めることによって、目覚めた。


『悪しき心』によって産まれた『力』は、『悪しき心』によって大きくなるようになった。



神が気づいたころには、『ヒト』の中の神の力は、暴走を始めていた。


それは『呪い』になった。


『呪い』は『ヒト』が『ヒト』を傷つけるために産まれた。




神の力であった『呪い』は、『ヒト』によって目覚めたために、神の手を離れ、意思を持つようになった。



『呪い』は『ヒト』から『ヒト』へと渡り歩いた。



『呪い』がそれ以上強くなるのを恐れた神は『呪い』に、ある枷を与えた。


その枷によって、『ヒト』は『呪い』を使うとき、その力に釣り合う『代償』を払わなければならなくなった。



しかし『ヒト』の『悪しき心』は、神が思っているのよりも、ずっと強いものであった。



『ヒト』は『力』を手に入れるために、簡単に『代償』を渡すようになった。



『ヒト』から『代償』を受け取れるようになった『呪い』は、より肥大していった。