世界は神によって作られた。



始め、神はこの世の中を広大な自然でうめつくした。


それは美しかったが、しかし神は、何かが足りないな、と思った。


そこで神は生き物を創った。

様々な形の動物や虫を創り、それぞれに役割を与えた。


虫は草花をたべ、動物はその虫や草花を食べた。そして虫と動物には、死ねば草花へその命が返るようにした。



世界はそれはそれは上手く回っていた。草花は季節によって美しく実り、動物たちも豊な生活を送っていた。



それを見て神は、自分もその世界に加わりたい、と願うようになった。



長い間独りで生きてきた神は、その世界の営みを自らの身をもってして、楽しみたかったのだ。


そして神は、自分の一部を切り離し、ある動物に混ぜた。



するとその動物は『ヒト』になった。



『ヒト』は神と似た姿をしていて、動物と同じように、2つの性別を持っていた。


『ヒト』は、始めは神の力を強く受け継いでいたが、繁殖を繰り返し、多くの『ヒト』として分裂していくにつれ、神の力は薄れていった。



それに神は満足をしていた。世界に加わることに成功し、『ヒト』が加わった世界もとても豊になっていた。